リスザルが連れてきた子猫3匹のうち2匹は無事に保護して、新たな里親さんへと託すことができた。
しかし、僕たちにはリスザルの不妊手術ともう1匹の子猫であるコリスの保護というミッションが残されていた。
しばらくは様子見が続いていたのが、ちょっと不思議なことがあった。
リスザルとコリスが住み着いている工場跡地で、頻繁にクロちゃんを見かけるようになったのだ。
クロちゃんの縄張りは駐車場全体なので相当広かったが、近くの工場跡地ではあまり見かけたことはなかった。
しかし、リスザルとコリスが住み着いてからは、どういうわけだか工場跡地の方にもクロちゃんがちょくちょくやってくるようになったのだった。
クロちゃんとリスザルは同じクロママから生まれているので、クロちゃんにとってリスザルは可愛い妹ということになる。
するとコリスは甥っ子ということなので、やはりクロちゃんからすると色々気になるのかもしれない。
あまりにも頻繁にクロちゃんがやってくるので、遠くからリスザルだと思って近づくと、実はクロちゃんだったということが良くあった。
しかも、そこにリスザルとコリスがやってきて、黒猫3匹が集合するという妙に密度が高い光景になったりもした。
一度だけ遊ぶコリスをクロちゃんとリスザルが一緒に見守る、という仲睦まじい一家団らんの姿を見たこともあった。
一般的に猫は家族関係にまつわる感情は希薄だと言われているが、少なくともクロちゃんは妹のリスザルと、甥っ子のコリスには何か特別な感情があったように思える。
そして秋も深まるころ、ようやく準備が整い、僕たちはリスザルの捕獲&不妊手術に挑むのだった。
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