一向に捕獲機に入らないリスザルに、僕たちはすっかりお手上げだった。
長く保護猫活動に携わっている姉御も、これまでにない経験らしい。
何しろリスザルは捕獲機の中央までは入るものの、最奥にある仕掛けのところまでは絶対に踏み込まないのだ。
このままではいつまで経ってもリスザルの不妊手術は不可能だし、残った子猫であるコリスの保護も難しくなってしまう。
そこで最後の手段として用意したのが、大型の手取り網だった。
どうしても捕獲機に入らないリスザルを捕獲するには、もう捕獲機以外を使うしかなかった。
そこで、ご飯を食べて油断しているリスザルを、後ろから手取り網で捕まえる算段を立ててみた。
とは言え、相手は警戒心が強いリスザルだけに、手取り網でスムーズに捕まるとは思えない。
僕たちはリスザル捕獲のシミュレーションを行いつつ、2週間ほど掛けてリスザルが近くでご飯を食べる習慣をつけさせた。
そして天気の良い秋晴れのある日、リスザル捕獲作戦が決行となる。
普段どおりに姉御がリスザルにご飯を食べさせているところを、妻が後ろから手取り網で捕獲を試みた。
上手くいくかは半信半疑だったが、かくしてリスザルを捕獲することに成功した。
突然の出来事で暴れるリスザルを僕と姉御で毛布にくるみ、何とかキャリーケースにしまいこんだ。
その後、コリスは捕獲機で無事に捕まえて、里親さんの元へと引き渡すことができた。
新たな家に迎え入れられたコリスだったが、しばらくは他の兄妹たちとは上手く馴染めなかったらしい。
1か月ほど別に暮らしていたせいなのか、兄妹でもすぐにはお互いを認識できなかったとのこと。
しかし、捕獲から1週間ほど経ったころ、コリスも兄妹たちと仲良く過ごせるようになったと聞き、僕たちはようやく胸をなでおろした。
リスザルだけではなくコリスの捕獲も一気に片付き、僕たちと姉御の不安は解消された。
こうして4ヶ月ほどにわたるリスザル捕獲作戦は、無事に終わりを告げたのだった。
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