保護活動

僕とキジトラ、最初の逢瀬

駐車場に住み着いている野良猫に目を向けるようになってから、数日のこと。

お店の入口近くにいるキジトラと黒猫のペアは、どうやらお客さんに可愛がられているようだった。

というのも、入口の近くにある駐輪場には、絶えず猫用のカリカリが置いてあったからだ。

野良猫に餌をあげる是非はともかく、2匹の猫が飢えている様子がなさそうなのは幸いというべきだろう。

しかし、そんなある日、キジトラの方が駐輪場の近くで所在なげに歩き回っているのが見えた。

どうやら、その日に限って、餌をくれる人に恵まれなかったらしい。

いつもは駐輪場に置いてあるカリカリも見当たらず、お腹を空かせているようにも見える。

そんなキジトラのどことなく心細そうな姿を見て、ついつい同情心が湧いてしまった。

無責任に野良猫に餌をあげることはいけないこと、と頭の中で分かってはいても、目の前で空腹(多分)を訴えているようなキジトラを見てしまうと放ってはおけない。

仕方がないと自分に言い聞かせながら、急いで近くのスーパーでおやつ用のカリカリを買ってきた。

スーパーから駐車場に戻る最中も自分の中での葛藤は続く。

駐車場に戻ったら誰かがカリカリを置いてくれて、キジトラはお腹いっぱい食べてるかもしれない…

それなら、自分が餌を上げることはなくなるし、罪悪感にも悩まされずに済む。

そして、今思えば、これが現在に続くまでのターニングポイントだったのだろう。

果たしてキジトラにカリカリを置いてあげるお客さんはおらず、自分が買ってきたおやつ用カリカリをあげるはめに。

意を決して地面におやつ用カリカリを置いてみると、さっそく美味しそうに食べるキジトラ。

その姿を見て、自分が今まで抱えていた罪悪感は吹き飛んでしまい、猫の魅力に取りつかれてしまったのだった。

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