保護活動

一番の人気者

毎日のように駐車場の猫たちへご飯をあげるようになってから早数か月が経ち、僕たちの存在はだいぶ猫たちに認知されてきた。

すっかり懐いているトラちゃん、クロちゃん、チャトラの3匹以外の猫たちも、どこからともなく現れてはご飯を食べて帰っていくのだった。

他の猫たちにもご飯をあげられるくらいに、距離が縮まったことや猫たちが少しは心を許してくれることが、僕にとっては大きな喜びに感じられた。

いわば猫たちに支持されるようになったわけだが、とある日に猫たちへご飯をあげている時に事件は起こった。

その日はトラちゃんとクロちゃんに加えて、少し離れたところにサバ美もご飯を食べにやってきていた。

サバ美はお店から少し離れた民家の庭に住んでいるようで、僕たちのところへご飯を食べに来るのは週に2~3回程度だった。

ご飯を用意している僕たちの傍で大人しく待っている3匹の猫を眺めているのは、可愛らしさだけではなく何とも言えない満足感もあった。

しばらくして3匹分を用意して食べさせていると、お店の奥からガラガラという台車を押す音が聞こえてきた。

ガラガラ音の主はお店の掃除のオバさんで、ゴミを回収するための台車を押しながら歩いてきたのだった。

その音を聞きつけた猫たちは、ご飯を食べるのをやめて3匹ともオバさんの後を付いていってしまった。

台車を押すオバさんを先頭に、トラちゃん、クロちゃん、サバ美の3匹が1列になって歩く光景はシュールで愉快に感じられた。

そのうち、どこから現れたのかチャトラとクロママも行列に加わって、一行は1人と5匹の大所帯に。

まるでブレーメンの音楽隊のような行列で、猫たちが掃除のオバさんを慕っているのが良く伝わってきた。

遠くから様子を見守っていると、駐車場の中ほどまで進んだところで、1匹ずつご飯をあげていた。

おそらく僕たちが駐車場へ来る前から、猫たちを可愛がっているのだろう。

猫たちも信頼してご飯を食べているようだし、ある意味では一番の飼い主なのかもしれない。

と同時に、猫からの支持率が高くなったと感じていた僕は「まだまだだなぁ~」と思いを改めるのだった。

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