トラちゃんの出産が無事に終わり、駐車場の猫たちは普段通りの平和な日々を送っていた。
僕たちはトラちゃんが産んだ子猫たちの行方を案じながらも、子猫たちと会える日を楽しみにしたのだった。
そんなある日、チャトラが耳に切れ目のようなケガをしていることに気付く。
トラちゃんのことばかりに気を取られていて、他の猫の様子をすっかり見落としていた。
そこでチャトラの耳を良く観察してみると、割と綺麗に切れ目が入っていて出血などの跡も無かった。
もしかしたら、猫同士のケンカで耳を切ってしまったのかもしれないと思い、姉御にチャトラの様子を見てもらうことに。
すると、姉御は「チャトラは誰かが去勢手術してくれたんだよ。」と即答してくれた。
野良猫は不妊・去勢手術をすると、手術済みである証として耳にV字型のカットを入れるらしい。
耳のカットはオスなら向かって左側、メスなら向かって右側と決まっているそうだ。
その話を聞いてからあらためてチャトラを眺めてみると、姉御の話どおりに向かって左側の耳にカットが入っている。
姉御いわく、いずれチャトラも去勢手術をするつもりだったそうなので、先んじて誰かがチャトラを手術してくれたのは、本当に有り難いことだと言う。
さらに、姉御以外にも保護猫活動をしている人が駐車場の近くにいることに、すごく驚きと感激を示していた。
こうして誰よりも早くチャトラは手術済みの地域猫となったのだった。
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