ケガをしたことで僕たち夫婦に懐いたクロちゃん。
元々人懐こかったトラちゃんと、人との距離感を独自の感性で学んで僕たちに懐いたチャトラ。
駐車場で暮らす3匹の猫は、それぞれの性格と事情で人との距離を縮めた。
しかし、本当に問題なのは、この3匹の距離感だった。
クロちゃんとトラちゃんは、それはもう本当の家族のようにベッタリで、見ているこちらが微笑ましく感じるほどだった。
しかし、クロちゃんとチャトラは一戦交えたこともあり、常に一触即発の雰囲気があった。
むしろ、チャトラの方はスルー気味だったのだが、クロちゃんはチャトラを見かけるたびにウーウー唸っていた。
こうなると、どの猫も可愛がっている僕たちは気が気ではなくなる。
もし、クロちゃんとチャトラが再戦することになれば、今度こそクロちゃんが大けがを負ってしまうかもしれない。
クロちゃんも身体は大きいものの、チャトラにはボス特有の風格というか貫禄が備わっている。
それにチャトラは流れてきた猫だけあって、ケンカ慣れしている感じがするのだ。
そんな2匹の間にいたのが、トラちゃんだった。
3匹の中の紅一点であり、仲の悪いクロちゃんとチャトラの緩衝材のような役割を担っているように見えた。
ひょっとすると、人間が心配するほど猫同士の関係というのは、危ういものではないのかもしれない。
そんなことを思うほど、この奇妙な三角関係は絶妙なバランスで保たれていくのだった。
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