サバ美のTNRを終えた僕たちが、次に取り掛かったのは駐車場で目撃情報が相次ぐ子猫の調査だった。
本当に子猫がいるなら、どんな状況なのか確認しておきたかったからだ。
しかし、目撃情報が寄せられた工場跡地を探してみても、子猫らしき姿は全く見えず。
見間違いということで片付けようとしたある日、4匹の子猫が意外な母猫と一緒に現れた。
子猫を連れて工場跡地の奥からやってきたのは、なんとサバ美だった。
捕獲の時にサバ美を抱えた姉御が授乳の跡が無いことを確認していたはずだったのに、実はサバ美は4匹の子猫を育児中だったのだ。
サバ美は手術後に1泊でリリースしたのだが、これが意外にも功を奏したことになる。
もしサバ美を1週間ほど家で休養させていたら、子猫たちの命に関わったかもしれない。
手術後にあまり休む間もなくリリースしたのは少し可哀そうだと思ったのだが、子猫がいたことを考えると即リリースが正解だったと言えるだろう。
僕と姉御は驚きながらも、子猫の様子を見ようと近づくと、サバ美は「シャーッ!パッ!」とすごい剣幕で怒ってきた。
姉御によると、この「シャーッ!パッ!」というのは猫にとって最大級の怒りと敵意を示しているらしく、サバ美なりに子どもたちを守ろうと必死に戦っているらしい。
いわば母性が強さの証拠でもあり、4匹の子猫が無事に大きく育っているのも納得できる。
さて、子猫の顔触れはキジトラ、サバトラ、サビ、黒サビ、の4匹。
このうち、サビ2匹はメスが確定、残りのキジトラとサバトラはオス・メスのどちらかは分からなかった。
月齢は離乳が済んでいたことから、おおよそ4ヵ月くらいだろう。
僕と姉御は子猫の扱いについて相談したが、保護する余裕もなかったので、サバ美が育ててくれるのを見守ることにした。
しかし、ただ子猫たちが成長するのを放っておくと、再び繁殖して猫が増えてしまうので、半年を目途にしてTNRを実施することに。
さすがに今回はリスザルの子猫たちのように里親さんを見つけることはできなかったので、母性が強いサバ美が4匹の子猫たちを無事に育ててくれるのを祈るばかりだった。
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