長く野良猫の保護をしている姉御に話を聞いたのだが、一般的に母猫は野良の環境でも子猫を育てることができるらしい。
もちろん死産や病死で子猫の命が失われることはあるらしいが、トラちゃんの体型から考えれば健康な子猫が生まれた可能性は高いそうだ。
それなのにコトラちゃん1匹しか残らなかったのは、トラちゃんの子育てが上手くなかったかもしれないとのこと。
そう思って考えてみると、トラちゃんの奔放な性格は子育てに向いていないような気もする。
人と触れ合うのが好きで、常に駐車場で過ごしているトラちゃんには、子育てに忙しい様子も見られなかった。
むしろ、こちらが子猫の身を案じてしまうほど、トラちゃんは子育てと無縁の生活を送っていた。
コトラちゃんを見かけた後も、トラちゃんはひとりで駐車場にきては、いろんな人に甘えて美味しいものをねだっていた。
トラちゃんにとって一番の幸せは大好きな人から美味しいものを食べることで、それこそ生きるための理由なのかもしれない。
そして美味しいものを食べた後は、日当たりの良いところでお昼寝を満喫して、また気が向けばクロちゃんと遊んだりと自由気まま過ぎるほどだった。
こんな生活を送っているトラちゃんが熱心に子育てをしているとは思えず、ひょっとしたら母性が無いのではと心配をしていた。
それでも、いつもトラちゃんがコトラちゃんを連れていれば、そんな心配は無かっただろうが、コトラちゃんを連れてくるのは本当にごく稀なことだからだ。
コトラちゃんを隠しながら大事に育ててくれているなら心配ないが、もしトラちゃんの子育てが上手くなくてコトラちゃんの命が失われてしまわないかという不安は常に抱いていたのだった。
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