駐車場に住む野良猫のトラちゃんは、人懐こいせいか本当に良くしゃべる。
きっとトラちゃん的には、人とコミュニケーションを取ることが、自分にメリットがある(ご飯やおやつがもらえる)と良く知っているのだろう。
それはトラちゃんが生きるための術だったのかもしれないし、ただ単純に人とコミュニケーションを取るのが好きだっただけかもしれない。
本当のところはトラちゃんにしか分からないことだが、一生懸命に話しかけてくるトラちゃんはとても可愛らしかった。
まず、僕たちがやってくると、トラちゃんは「ニャッ!」と短く鳴いて挨拶をする。
日本語にすると「やぁ!」みたいな感じだろうか。
少し離れたところにいても、僕たちを見つけたトラちゃんは小走りに近づいてきながら「ニャッ!」と鳴くから、一層と可愛らしい。
挨拶が終わった後は僕たちの足にスリスリしながら「ニャー、ニャッ!」と少し長めの鳴き声を交えて甘えてくる。
これは「今日は遅かったね!待ってた!」や「お腹空いたよ!早くこっち!」みたいな感じ。
スリスリするトラちゃんと一緒に駐車場の奥へと歩いていき、ご飯をあげる準備を始めると、「ニャー、ゴロッ、ニャッ!」と鳴く。
ニャーという鳴き声の間に嬉しそうに喉を鳴らすゴロッが混じっていて、喜びの感情が良く伝わってくる。
トラちゃん的には「やっとご飯!嬉しい!食べたい!ありがとう!」みたいに話しかけているんだろう。
ご飯を食べ終わった後もトラちゃんのおしゃべりは止まらず、「ニャ~、ニャ~」とのんびり鳴きながら撫でて欲しいポーズを取る。
僕たちの足元に香箱座りしながら、甘えるトラちゃんはまるで飼い猫のようだった。
きっとトラちゃんは話しかけることで、僕たちにいろんなことを伝えようと頑張っていたんだと思う。
そのトラちゃんの意思を汲み取った僕たちにとって、トラちゃんは野良猫ながらも大事な友人の一人となったのだった。
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